「LT値」ってなに?【トライアスロン用語解説・ラン編】

LT値

トライアスロンはスイム、バイク、ランと3種目を行うため、トレーニングを行うにつれて様々な指標を意識するようになってくるかと思います。

今回は主にランニングで使用される指標である「LT値」について解説します。

この記事を読むことで、LT値の全てがわかります。

この記事でわかること
  • LT値とはどのようなものか
  • 乳酸はランニングをする上でどのような影響をもたらすのか
  • LT値を高めるにはどのようなトレーニングを行えば良いか

LT値ってなに?

LT_what's-LT

LT値とは、Lactate Threshold(乳酸性作業閾値の略称で、有酸素域から無酸素域に切り替わり、乳酸が急激に溜まり始めるポイントです。

この指標は、主にランニングやマラソンで使用されます。

LT”値”という名称でありますが、何か数値的な指標というよりも「切り替わるポイント」というイメージを持った方がわかりやすいかもしれません。心拍としてのLT値であったり、ランニングペースとしてのLT値があるということです。

有酸素域から無酸素域に切り替わるポイントということは、エネルギーとして使用する要素が変わってくるということです。

その結果、ランニングやマラソンにおいてはLT値を超えると呼吸が苦しくなったり脚に負担がかかり、身体全体が急激に疲労し始めます。

また、乳酸が急激に溜まってくることもあり、それに比例して脚に疲労が溜まってきます。そのためマラソンなどにおいてはこのLT値を超えないようレースペースを考える必要があります。

逆に考えると、LT値を高めることができればトライアスロンのラン種目では非常に有利になるということです。

LT値はどうやって測定することができるの?

LT_how-measure

LT値は有酸素域から無酸素域へ切り替わるポイントであり、ペースや心拍で示すことができます。

具体的には、下記の算式によりLT値となる心拍を簡易的に算出することができます。

LT値の算出方法

LT値=(最大心拍数ー安静時心拍数)×0.75+安静時心拍数

最大心拍数=220ー年齢

つまり、この算式で測定された心拍数となるタイミングで有酸素域から無酸素域へ切り替わるということです。

ガーミンなどのスポーツウォッチを使用すれば、走っている最中の心拍を測定することができるのでLT値を超えないように走るといった戦略を意識することができます。また、そのようなデバイスを利用すれば同時にランニングペースのLT値も測定することができます。例えばLT値となる心拍に達したタイミングでのペースが4’30/kmであった場合、ランニングペースのLT値は4’30/kmということがわかるので、自分が長時間維持可能なペースやフィニッシュタイムを予測することができるのです。

より厳密にLT値を測定する方法として、血液を採取して専門機関で血中酸素濃度を測定する方法もあります。しかし、血液採取は簡単にできるものではないため、一般のランナーは上記で紹介している心拍でLT値の目安を測定する方法が望ましいでしょう。

そもそも乳酸ってなに?

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LT値とは乳酸が急激に溜まり始めるポイントでもありますが、そもそも「乳酸」とはどういう物質なのでしょうか。

乳酸というと激しい運動をすると身体に溜まり、疲労の原因となるようなイメージを持たれている方も多いかと思いますが、どうもそう単純なものではないようです。

そもそも乳酸とは、糖質が分解されることで発生する物質であり、身体の中では糖質をエネルギー源とする筋肉によりエネルギーが生成される際に発生します。

有酸素運動を行う際には主に脂肪を燃焼させることでエネルギーを生成することができますが、無酸素運動を行う際には筋肉で糖質を分解してエネルギーを生成します。

そのため、有酸素域から無酸素域へ切り替わるポイントであるLT値を越えた後には無酸素運動中心となるため、乳酸が急激に溜まるようになります。

以前は激しい運動を行い疲労が蓄積している際に乳酸が多く溜まっていることから、乳酸が疲労物質であると考えられていました。

しかし、最近では乳酸は疲労の直接の原因ではなく、乳酸生成の過程で生じる水素イオンの影響で筋肉が酸性へと傾くことや、エネルギー源である筋グリコーゲン(糖質)の減少が疲労の原因と考えられています。

それだけではなく、血液中の乳酸は肝臓でグリコーゲン(糖質)へと再合成され、再びエネルギー源になるとも考えられています。これまでのイメージが大きく変わりますね。

このように、乳酸は疲労の直接的な原因ではないというのが最近の主流ではありますが、LT値を超えて乳酸が溜まることが疲労蓄積開始の指標であることに変わりはないため、乳酸の存在や影響をしっかりと意識しておくことが自らを身体をコントロールする上では重要となります。

LT値を高めるためのトレーニング

LT_training

LT値を高めると、乳酸が急激に溜まる無酸素域に切り替わるポイントが高まります。つまり、心拍数が高くなり、ランニングペースも向上します。よって、単純にタイムを縮めることに繋がります。

では、具体的にどのようなトレーニングを行うとLT値を向上させることができるか紹介します。

まず自分のLT値を上記算式により把握します。

そして算出したLT値を少し下回るくらいを目安にペース走を行うことがLT値向上には非常に効果的です。このトレーニングは、閾値走やLT走、テンポ走と言われます。

具体的には、最大心拍数の80%~90%を目安に、レースで1h程度維持できるペースで20分以上走ることです。

また、最大心拍の60%~70%で20km程度走るLSD(ロングスローディスタンス)もLT値向上に効果的と言われているので、その日のコンディションやスケジュールに応じて取り入れていくと良いでしょう。

上記トレーニング方法も含め、LT値についてはランニングの名著として知られている「ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第3版」に書かれているので、もっと詳しく知りたい方はそちらを手にとって見てください。

まとめ:まずはLT値を知るところから

LT値は有酸素域から無酸素域に切り替わり、乳酸が急激に溜まり始めるポイントです。

LT値の向上により長時間維持できるペースも変化するので、長距離種目に取り組むには欠かすことができない指標であるといえるでしょう。

まずは自分のLT値を知るところから始めてみることが、LT値向上、ひいてはタイム短縮に繋がるのではないかと思います。

どこかの誰かのお役に立てば幸いです。

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kan
東京で働く30代のサラリーマントライアスリート。 5kmを走るのがやっとのところから練習を開始し、2019年に総距離226kmのロングディスタンスを完走しました。 現在は世界選手権を目指してトレーニングに勤しむ毎日。 トライアスロンの楽しさ、知識、ノウハウを発信しています。