トランジション完全解説【オリンピックディスタンス編】

Transition

トライアスロン挑戦に向けてトレーニングもそこそこ積んできたけれど、何やら本番ではトランジションというものが重要らしい。

でもそもそもトランジションってなに?

第4の競技と言われているようだけど、ただシューズを履き替えるだけじゃないの?

そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、数多くのトライアスロンレースに参加経験のある筆者が、トランジションの概要準備レース本番での動きを解説します。

この記事を読めば、あなたのトランジションへの不安をきっと解消することができるでしょう。

この記事でわかること
  1. トランジションとは何か
  2. トランジションで必要となるアイテム
  3. レース本番のトランジションでの動き

トランジションの概要

トランジションとはトライアスロンでの各種目間の交代ポイントのことで、次の種目への準備を行います。

トランジション全般に共通する重要なポイントが、「事前準備」「イメージ」です。この2つはトランジションで非常に重要な考え方となりますので、常に意識して読み進めてみてください。

トランジションはスイム→バイクとバイク→スイムの2種類があり、それぞれT1(ティーワン)T2(ティーツー)と呼ばれています。

トランジションは次の種目への準備がメインですが、トイレに行っても、補給食を摂取しても、休憩しても構いません。時間の許す限りは何をしても自由ですが、トランジション中の時間も計測は行われているため注意が必要です。なお、トランジションで経過した時間は最終的にはバイクのタイムに加えられます

オリンピックディスタンスやアイアンマンといったレースの種類によって、トランジションの場所や準備なども異なるのですが、この記事では日本で最も多く開催されているオリンピックディスタンスのケースを紹介します。

T1

トランジション1

T1ではスイムからバイクへと移行します。

ウェットスーツを脱ぐという大きなアクションがあるため、余計な体力を使ってしまわないように、事前にしっかりと本番の動きをイメージした上で準備をしておくことがポイントです。

準備

トランジションの準備はレース当日の朝に行います。

レーススタートは7〜8時頃が多く、当日受付が必要となるレースも多いです。そのため、トランジションの準備に割ける時間は限られているということをまず認識しましょう。

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レース前に慌ててしまうとそれだけでエネルギーを消費してしまいます。

スイムのスタート地点にたどり着いた段階で疲れ切ってしまっている。なんて事態は絶対に避けたいものです。

T1で使用するアイテムはこちらです。

T1で使用するアイテム
  • バイク
  • ヘルメット
  • サングラス
  • バイクシューズ
  • ゼッケンベルト
  • タオル

レース当日はバイクとトランジションアイテムを持って、トランジションエリアに向かいましょう。

このとき注意する必要があるのが、ナンバーシールを事前に貼っておくこと、そしてヘルメットをしっかりとかぶることです。

トライアスロンではレースナンバーが記載されたシールが事前に配布され、それをヘルメット、バイク本体、そして自分の腕に貼る必要があります。

トランジションエリアに入る際にはバイクのブレーキといった稼働状況と共に、ナンバーシールがチェックされるため、事前に送られてきているようであれば前日までに貼っておきましょう。

また、ヘルメットをかぶった際にあご紐に隙間ができないかを同じタイミングでチェックされるため、こちらも事前に調整しておきましょう。

トランジションエリアにはバイクラックが大量にありますが、自分のゼッケンナンバーが記載されている場所にしかバイクを設置することができません。そのためまずは自分のゼッケンナンバーが貼られているラックを探し、その場所にトランジションアイテムをバイクから順番に設置していきます。

DHバーを装着しているようであれば、ヘルメットとサングラスはDHバーに乗せておくと、スムーズに被ることができ、うっかり忘れるという心配もありません。バイクシューズとタオルは足元に設置しておきましょう。

重要なのは、トランジションでの自分の動きをイメージして設置することです。

初レースの方ですとイメージするのが難しいかもしれません。

しかし、ウエットスーツを着たスイムから、バイクに乗るための準備をする際にどういった動作が必要となるのか、何が必要となるのかをシンプルに考えてみるとイメージしやすいのではないでしょうか。

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自分のバイクを設置した場所はしっかりと覚えておきましょう。

スイム後に自分のバイクの場所が分からなくなって走り回る人は意外と多く、余計な体力を使ってしまいかねません。

レース中の動き

レース本番でのT1の動きはこちらです。

T1の動き
  1. スイム終了後トランジションエリアへ到着
  2. タオルの上で足裏の汚れを落としながらウェットスーツを脱ぐ
  3. ゼッケンベルトを装着
  4. バイクシューズを履く
  5. ヘルメットとサングラスを装着
  6. バイクを押してトランジション出口へ

順番に説明します。

①スイム終了後トランジションエリアへ到着

スイムパート終了後、ウェットスーツのままトランジションエリアへ向かいます。

この移動は、走っても歩いても問題ありません。スイムパート終了後は息が上がってしまっていることが多いため、息を整えながら無理をせずに向かいましょう。

スイムエリアからトランジションエリアまでの距離はレースによって様々ですが、例えば九十九里トライアスロンでは800m近くもあるなど、予想以上の距離で体力を消費してしまうこともあるので、事前にチェックして心の準備をしておくと良いでしょう。

②タオルの上で足裏の汚れを落としながらウェットスーツを脱ぐ

トランジションエリアに到着したらまずウェットスーツを脱ぎます。濡れた状態でウェットスーツを脱ぐのはなかなか大変ですが落ち着いて行いましょう。

スイムエリアからトランジションエリアまでは裸足で移動するため、足裏に小石や土が付いてしまっていることが多いです。そのためバイクシューズの中に小石が入ってしまうと怪我をしてしまう恐れがあるため、必ずしっかりと足を拭きましょう。

このとき、タオルの上に乗って足裏の汚れを落としながらウェットスーツを脱ぐと、効率的にトランジションを行うことができるでオススメです。

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ウェットスーツを脱ぐのもコツがいります。

ぶっつけ本番だと、なかなか脱げずに余計な体力を使ってしまいかねないので事前に練習しておきましょう。

③ゼッケンベルトを装着

バイクパートからは、ゼッケンナンバーが常に見えるようにする必要があるため、このタイミングでゼッケンベルトを装着します。

ゼッケンベルトも装着していないと失格となってしまうので、忘れないようにウエットスーツを脱いだらまず最初に装着するようにしましょう。

ゼッケンベルト装着を忘れてしまう不安がある方は、スイムスタートの時点でウエットスーツの中につけておくことをオススメします。

筆者もその方法を採用していますが、スイム中も全く気にならず、装着するのを忘れる心配もないので安心してレースに集中することができます。

④バイクシューズを履く

ウェットスーツを脱いだ後はバイクアイテムの装着をしていきます。

バイクシューズはバイクに乗る前に履いておきましょう。

バイクソックスは履かなくても構いません。ただし、本番でいきなり普段と違う環境だと、靴ズレなど予想外の怪我をしてしまう恐れもあるため、必ず事前にソックスを履かなくとも問題なくレースの距離が走り切れるか試しておきましょう。

⑤ヘルメットとサングラスを装着

DHバーに設置しておいたヘルメットとサングラスを装着します。

ヘルメットを被らないと失格となってしまうため、忘れずにしっかりと被りましょう。

⑥バイクを押してバイクスタート地点へ

全てのアイテムを装着したら、バイクスタート地点へと向かいます。

このときトランジションエリア内でバイクに乗ることはできません。

バイクスタートラインを超えてからでないとバイクに乗ることはできませんので、くれぐれも注意しましょう。

トランジションでの時間短縮のために、バイクシューズをバイクに予め装着し、バイクスタートラインを超えると共にバイクに飛び乗るという方法もあります。

しかし、ある程度練習や経験を積まないと転倒する危険もあるため、最初は先にバイクシューズを履き、スタートラインを超えてからビンディングを装着する方法を行いましょう。

T2

トランジション2

続いてT2の説明をします。

T2はバイク終了後にランへと移行するトランジションです。

レース終盤となり、全身の疲労が溜まってきてることが予想されますので、トランジションで休みつつ落ち着いて一つずつこなしていきましょう。

レースの種類によってトランジションの場所や準備の方法は異なります。

例えばオリンピックディスタンスではT1とT2の場所は同じことがほとんどですが、アイアンマンなど距離の長いレースではT1とT2の場所が異なることが多いです。

場所が異なる場合には前日受付の際にトランジションに設置するアイテムを預けるといった対応が必要となります。

参加するレースでのトランジションでどのような対応が必要となるのか、事前に送付される案内にしっかりと目を通して準備しておきましょう。

準備

T2で使用するアイテムはこちらです。

T2で使用するアイテム
  • ランニングシューズ
  • ランニングソックス
  • キャップorサンバイザー
  • サングラス

T1とT2の場所が同じレースの場合、T2の準備も当日の朝に行います。

T1のアイテムを設置したバイクラックと同じ場所に設置しておきます。

T2アイテムを設置する際にも、実際のレースの動きをイメージして、どのように配置すればスムーズに着脱をすることができるかを考えながら設置すると良いでしょう。

また、T2アイテムは地面に置くことになるのですが、その際にゴミ袋を敷くことをオススメします。

ゴミ袋を敷くことで、アイテムを汚さずに設置することができ、更にレース終了後に濡れたウェットスーツやタオルなどをゴミ袋に入れてスムーズに回収することができます。とても便利ですので是非一度試してみてください。

レース中の動き

レース本番でのT2の動きはこちらです。

T2の動き
  1. バイクをラックにかける
  2. ヘルメットを外す
  3. バイクシューズをランニングシューズに履き替える
  4. キャップやサンバイザーをかぶる
  5. ランスタート

順番に説明します。

①バイクをラックにかける

バイクパート終了後は、まずバイクから降ります。

この際、バイクのフィニッシュラインを越える前にバイクから降りなくてはいけないため注意しましょう。

バイクから降りた後は、バイクを押してT1と同じバイクラックに向かいます。

②ヘルメットを外す

バイクラックにバイクを戻したらヘルメットを外します。

ヘルメットはどこに置いても構いませんが、周りの邪魔にならないようバイクにかけておくと良いでしょう。

③バイクシューズをランニングシューズに履き替える

続いてランニングシューズに履き替えます。

バイクシューズ同様、ソックスを履くかどうかは好みによるので、事前に体験して自分が走りやすい方法を選択してみてください。

④キャップやサンバイザーをかぶる

トライアスロンシーズンは夏場が多く、ランに入る頃には最も暑い日中の時間帯となります。

そのため、熱中症や日焼け対策として必ずキャップやサンバイザーをかぶりましょう。

なお、サングラスはバイクで使用したものをそのままランでも使用している人が多いです。

⑤ランスタート

準備ができたらいよいよ最終種目であるランのスタートです。

ここまで来ればあと一息なので、落ち着いて一つ一つの動作を確実にこなして行きましょう。

レース前日に荷造りをする際に、T1,T2で使用するアイテムをそれぞれ袋に分けてまとめておくことをオススメします。

こうすることで、トランジションで使用するアイテムに漏れがないよう効率良く準備することができます。

前倒しで準備できるものはどんどん前倒しをして、当日の負担を軽減していきましょう。

片付け

片付け

レースが終了した後に行う重要なイベントが、トランジションの片付けです。

レース中はつい焦ってしまい、アイテムが散乱してしまうことも多いため、忘れ物のないようにしっかりと回収しましょう。

トランジションで補給食を使用する方も多いと思いますが、補給食のゴミもしっかりと回収して、決められた場所で処分しましょう。

最後まで感謝の気持ちを持ってレースに参加することがトライアスリートとしての務めなのです。

T2アイテムを敷くのに使用していたゴミ袋は片付けの際にも力を発揮します。

濡れたウエットスーツ、汚れたタオルなど、全てまとめてゴミ袋に入れれば簡単に回収することができます。

とても効率良く片付けをすることができるので、是非とも試してみてください。

トランジションエリアからバイクを回収する際には、盗難防止のためレース前と同様にバイクに貼ったナンバーシールのチェックがあります。

そのため、バイクのナンバーシールはトランジションエリアを出てから外すようにしましょう。

事前準備とイメージが大切

トランジションは事前準備イメージが非常に重要です。

トランジションに落ち着いて対応することで、タイムが短縮できることはもちろん、何より無駄なエネルギーを使わずに済むことができます。

実際にトランジションの練習をしておくこともオススメです。

スイムからバイクへの移行となるT1は難しいですが、バイクからランへ移行するT2であれば気軽に練習することができるので、実際にランニングシューズなどT2で使用するアイテムを並べて練習してみましょう。

レース当日の朝は受付などもあり、予想以上に時間がどんどん過ぎてしまいます。

前日の荷造りの段階からトランジションでの動きをイメージし、一つでも不安を解消して楽しくレースに臨みましょう。

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ABOUT US
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東京で働く30代のサラリーマントライアスリート。 5kmを走るのがやっとのところから練習を開始し、2019年に総距離226kmのロングディスタンスを完走しました。 現在は世界選手権を目指してトレーニングに勤しむ毎日。 トライアスロンの楽しさ、知識、ノウハウを発信しています。